2020年度前学期 体育学部スポーツトレーニング論B 第1回
導入(授業概要の解説)
杉田正明
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日本体育大学体育学部教授(コーチング学)
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博士(学術)三重大学
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体育学部体育学科長
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日本陸上競技連盟・科学委員長
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日本オリンピック委員会・情報医・科学専門部会 情報・科学サポート部門長
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日本スポーツ振興センターハイパフォーマンスセンター アドバイザー
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(公財)日本スポーツ協会 公認スポーツ指導者養成講習会(共通科目)科目別主任講師
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日本体育学会 代議員
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高所トレーニング環境システム研究会会長
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(公財)日本トライアスロン連合 情報戦略・医科学委員会委員
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(公財) 日本テニス協会 強化本部テクニカルサポート委員会委員ほか
伊藤雅充
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日本体育大学体育学部教授(コーチング学)
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博士(学術)東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻
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日本体育大学コーチングエクセレンスセンター長
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日本体育大学コーチデベロッパーアカデミーディレクター代理
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国際コーチングエクセレンス評議会研究委員会委員
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アジアコーチング科学協会第一副会長
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日本コーチング学会理事
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日本スポーツ協会事業推進プロジェクト委員
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日本スポーツ協会公認スポーツ指導者制度共通科目トレーナー
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日本スポーツ振興センターハイパフォーマンス統括人材の育成支援事業メンターほか
みなさん、こんにちは。
今期、皆さんの「スポーツトレーニング論B」を担当することになった杉田・伊藤です。これまでと違った授業形態になり、皆さんと同様、我々も戸惑っていますが、精一杯皆さんの学びを支援できるように頑張りたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
なぜこの授業には教員が2名ついているのだろうかと不思議に思っている人もいることと思います。普通は教員は一名しかつきませんね。実は、この授業担当者をきめた昨年度、だれも今のような社会情勢になっていることは全く予測できず、オリンピック・パラリンピックに関わる仕事をたくさんしている我々2人がお互いにカバーし合って授業を展開していくことを想定していたため、特別に2人担当になっているのです。そういう意味では、皆さんのクラスだけは、「お得」な買い物をした感じです。もちろん他の先生方も経験豊かな方々ばかりですが、我々もユニークな経験をたくさんもっていますので、授業のテーマにピンポイントなことだけでなく、その周辺領域の話もいろいろできると楽しいのではないかと思っています。
さて、さっそく今日の中身に入っていきましょう。
スポーツトレーニング論Bは「技(ワザ)」を磨いていくためには、どのようなことを考えていけばよいのか、効率的なスキルアップの方法とはどのようなものなのかを考えていく授業です。皆さんのほとんどはアスリートとして日々のトレーニングに励み(今はなかなか思うようにできませんが!)、パフォーマンスアップに向けて心も体もワザも磨き続けていますね。この授業が皆さんの競技力向上に対する新しいアプローチ法を提供することになれば、とても嬉しく思います。また、この中には将来指導者としてのキャリアを考えている人も少なくないと思います。これから皆さんが上級生になっていき、練習をリードする立場になっていったとき、自分の競技力だけでなく、後輩達のスキルアップに対して、より良い支援ができるようになるでしょう。それがチーム全体の底上げに繋がり、自分自身の競技力向上にもポジティブな影響を与えてくれることでしょう。このような経験を通して、大学を卒業するころには、即戦力の指導者として羽ばたく準備ができていることと思います。
まず、この授業の概要、そして到達目標を確認しておきましょう。最初にシラバスが作られた時には、15週を対面授業で行うことが想定されていましたので、非対面式授業に変わり、全体の回数も12週と削減されたこともあって、到達目標を修正せざるを得なくなりました。しかし、最初に設定した到達目標に近いところまでは、授業のやり方を工夫することで到達できるよう、頑張ってみたいと思います。
【授業科目の概要・到達目標】
競技力向上を目指すもの、スポーツコーチングの質を高めようとするものにとって、学術的知見にもとづいた効果的なスキルアップの方法を理解し、それが実践できることは必須の能力であるといえる。本授業では、スポーツ心理学やスポーツ生理学、バイオメカニクスといった、スキルトレーニングの基盤となる学問領域の知識を融合させ、学融的立場から効果的なスキルトレーニングについて考えていくこととする。本授業を終えるとき、受講生は、
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科学的根拠を示しつつ、効果的なスキルトレーニングのあり方を論理的に説明できる
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科学的根拠にもとづいたスキルトレーニングのメニューを作成できる
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科学的根拠にもとづいたスキルトレーニングメニューを運用していくためのコツに気づいている
ことが期待される。
いかがでしょうか。日本体育大学の英語名はNippon Sport Science University、つまり科学的根拠にもとづいてスポーツを考えていく大学です。到達目標に「科学的根拠」が3回も出てきている理由が分かるでしょう。もちろん科学だけで競技に勝てるわけではありませんが、科学は間違いなく役に立ちます。一昔前であれば、科学にそっぽを向いても勝てたかもしれませんが、現在は世の中がそうはさせてくれません。この科学・技術の発達がめざましい中で、皆さんがスポーツパフォーマンスの領域で先頭を走り続けるためにも、この授業に真剣に取り組んでもらいたいと思います。
もし、字面だけを追って、内容をそしゃくできていない人がいたら、もう一度、授業科目の概要と到達目標をしっかり黙読(音読でもよいですが)してください。毎回、授業の内容を理解しているかどうかを確かめること、そして出席確認をするために課題を提出してもらいます。今日の課題には、間違いなく授業概要と到達目標は出てきます。よく読んで理解をしておいてください。
では次に、授業方法のチェックをしましょう。
【授業方法】
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コーチングは「知ること」に加え「できる」ことが重要となる。そのため、本来であれば、ケーススタディやグループディスカッションなど多くのアクティブ・ラーニングによる学習を取り入れて、スキルの獲得を目指すのだが、現在の状況を踏まえ、「知ること」の水準を上げられるようなものに実施方法を変更して授業展開する。
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対面授業ができないため、今期のスポーツトレーニング論Bについてはn-passを基軸にしつつも、本学学生および教職員の全員が既にアカウントを有しているMicrosoft Teamsを使って授業展開していく。また、双方向ビデオ会議システムとしてzoomを使うこともある。
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ウェブテキストを使って自己ペースで学習を進め、学習終了後、毎回事後課題を提出する。各回のウェブテキストは当該授業時間の1週間前にn-pass上およびTeams上で公開するので、授業が設定されている毎週火曜日1限終了時までに学習し、事後課題を提出すること。事後課題の提出期限は、その授業が行われた週の翌週の授業開始前(9:19)までとする。この事後課題提出をもって当該授業の出席とみなす。
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当該時間の授業にむけて事前課題が課されることがあるが、決められた日時までに必ず実施すること。
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担当教員は、授業時間が設定されている時間帯(火曜日9:20〜10:50)に、n-passのQ&A、クラスフォーラム、Teamsのチャットへの対応をするとともに、Teams(あるいはzoom)の映像通話で質問を受け付ける。映像通話での質疑応答の時間は9:50〜10:20までの30分間とする。それ以外の時間には原則として対応できないので注意すること。
少々複雑にみえるかもしれませんが、一度やってみると、それほど難しいことではないことが分かると思います。ただ、皆さんは他の授業も並行して受講していますので、授業毎のやり方の違いに戸惑うかもしれませんね。混乱をしないためにも、できれば皆さん、Microsoft Teamsを活用するようにしてください。教員からも「今、○○するときですよ」のようにリマインドしていきたいと思っています。また、システムの性格上、Teamsのほうが教員からの回答が早いと思われます。おそらく、n-passでこの授業の質問をチェックするのは授業時間内が主だと思いますが、Teamsのほうはそれ以外の時間にも教員の目に付くことが多いと思われます。
また、授業テーマに関する映像の視聴をお願いすることがあります。ウェブテキスト内にYouTube動画などを貼り付けていたり、Microsoft StreamをTeams内で視聴してもらったりすることがあります。参考資料としても映像を紹介することがあります。接続環境によっては映像の視聴が極めて困難である場合もあると思いますので、映像については絶対的な教材という設定にはしません。あくまでも補助的な手段として捉えてください。
それでは、授業で扱う内容についてみてみましょう。
【展開】
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導入(授業概要の解説)
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効果的なスキルトレーニングとは
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運動学習理論の概要
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練習の種類
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効果的なフィードバック
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非線形学習理論の概要と活用
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バイオメカニクス的考察(運動の法則)
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バイオメカニクス的考察(慣性モーメント、運動連鎖)
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バイオメカニクス的考察(内受容器)
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スキル練習メニューの開発
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スキル練習メニューの改善
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スキル練習メニューのイノベーション
ここに示した1〜12回の授業のうち、2〜6回は「学習」に関する理論的背景をもとにしてスキル向上について考えます。7〜9回の3回は3年次に授業が設定されているスポーツバイオメカニクスの基礎的な知識をつかってスキル向上を考えていきます。最後、10〜12回では、1〜9回で学んだことをフル活用して、効果的なスキル練習のメニューを作り、改善し、さらにこれまでになかった発想で練習メニューを革新していくことに挑戦します。
次に成績評価についてみておきます。新しいシラバスでは、次のように設定します。
【成績の評価方法・基準内容】
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毎回の課題提出をもって出席とみなし、出席回数が全体の3分の2以上ない場合は成績評価の対象とならない。
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成績評価は各回の課題の評価(60%)、最終課題(レポート)の評価(40%)で行う。
各回の課題が全部で12回ありますので、成績を100点満点で考えれば、毎回の課題が5点ずつになります。提出すれば5点という意味ではなく、もちろん内容も踏まえて最高5点で評価がされます。最終課題のレポートは、キーワードと最低文字数を設定したものとなる予定です。テーマは皆さんがこの授業を通して学んだことをまとめるものになるでしょう。
この授業は、テストをパスすることが目的ではなく、みなさんの競技力向上の実践をよりよいものにしていくことのために行います。授業内でも自分がこれまでに実施してきた練習を、新しく学んだ理論的背景を使って変化させていくことを行っていきますが、それ以外の時間でも、自分たちが行っている練習メニューをより効果的なものにしていけるように挑戦してもらいたいと思います。
【準備学習(予習復習の内容)】
授業で学んだことを可能な範囲で実践し、「知る」から「できる」にむけて挑戦をすること。
【受講生に対するメッセージ】
ここで学ぶ知識やスキルは、スポーツの実践や指導にとどまらず、学生生活においても役立てることができ、皆さんの人生をより豊かにしてくれる。担当教員はあくまでも受講生の皆さんの主体的な学びを支援するファシリテーターである。皆さん自身が自分の学びに責任を持ち、しっかりと学習していこう。
学びの主体は皆さんです。私が教えるから皆さんが学ぶのではありません。私が教えても、皆さんが学んでいなければ、私は「教えた」とは言えません。自分自身の学びに責任をもって取り組みましょう。
最後に参考文献を紹介しておきます。
【参考文献等】
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Knudson and Morrison:監訳・阿江通良(2007)「体育・スポーツ指導のための動きの動質的分析入門 」 NAP ISBN: 9784931411678
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石井喜八・西山哲成(2011)「スポーツ動作学入門」 市村出版 ISBN: 9784469268195
(Amazonへのリンクはここ)
それではこれからよろしくお願いします。
【Microsoft Teamsおよびzoomの利用案内】
(n-passで配布した資料と同じものです)
本授業はn-passを基軸としながらも、積極的にMicrosoft Teamsやzoom等のビデオ会議システムやオンライン学習支援システムを活用した双方向性豊かな方法論を採用して展開していきたいと思います。しかし、通信環境の制限もあり、Teamsおよびzoomに全員が参加できるとは限りませんので、映像による学習は最低限必要な程度にとどめたいと思います。しかし、自宅のWiFiや無制限パケット通信などの条件が揃っている人が、よりいっそうの深い学びができるようにする支援も同時にしたいと考えています。皆さんの状況をみながら、授業の運営形態も柔軟に変えていきたいと思います。最低限、n-passを介した文字情報によるやりとりでも単位取得が可能となるようにしたいと思いますが、できれば皆さんと一緒に新しいことにどんどん挑戦し、Microsoft Teamsやzoom等を使った学習環境構築をしていければ幸いと思っています。
皆さんは大学のメールアドレス(学籍番号@nittai.ac.jp)を持っており、これは既にTeamsへのアクセス権を持っていることを意味します。すぐにTeamsが使えるのです。まだやったことがない人は、ぜひやってみましょう。
まずはこのURLからMicrosoftのページに行き、アプリをダウンロードします。PC用のもの(デスクトップ版)とモバイル版とを選ぶことができます。
https://products.office.com/ja-jp/microsoft-teams/download-app
ダウンロードとインストールに少し時間がかかるかもしれませんが、我慢強く待ちましょう。インストールが終わりアプリが立ち上がる(立ち上がらなければ自分で起動してください)と、ユーザー名とパスワードを聞かれる画面が出てきます。そこでは必ず大学から配布されたメールアドレスを使い、パスワードも入力してサインインをしてください。
この授業を履修登録していた人は全てこの授業のチームに既に登録されています。アプリケーションの「チーム」を選ぶと、登録されている人の画面には「2020前期火1スポーツトレーニング論B」という名を持つアイコン(火1というイラストとともに)が現れると思います。これでもう準備完了です。
もし、「2020前期火1スポーツトレーニング論B」が現れない場合は、登録がうまくいっていない可能性があります。その場合には下のリンクをクリックして申請をしてください。
もうひとつ、授業で使う可能性があるのがzoomです。ZoomはTeamsよりもアクセスが簡単であり、外部の人を交えたトークなどには適しています。この授業の中で使わなかったとしても、社会の様々なシーンで活用する場面がありますので、準備をしておいてもらうとよいかと思います。ダウンロードは以下のサイトから行ってください。
今後、皆さんの対応状況をみながら、どのようなシステムを使って授業を展開していくことができるのかを判断したいと思います。アナウンスも当面はn-passとTeamsの両方で行っていきますので、ITが得意でないから不安だという人は、安心してください。徐々に慣れていきましょう。就職活動に向けて、とてもよい機会だと思います。